理事長挨拶

2013年度理事長 山下晋司(東京大学名誉教授)

「人間の安全保障」フォーラム―発足2周年目を迎えて~

 初代理事長の高須幸雄さんが、昨年5月中旬に、国連事務次長(国連管理局長)として二ューヨークの国連本部に赴任したことに伴い、同年62日の総会で私が理事長として選任されて、一年がたちました。その間、1031日に特定非営利活動法人として法人格を取得し、会員は発足時の74名から本年4月現在で147名に増えました。もちろん組織としてまだきわめて小さく、あまりに微力ですが、できることから実行していきたいと考えています。

 昨年度のフォーラムの活動内容は、基本的には、東日本大震災被災地の復興支援活動に力を入れ、前年に引き続き、宮城県登米市の出張所をベースに、トヨタ・パナソニック財団からの助成金による「子ども未来館」プロジェクト(教育支援)を継続しました。同時に、新たに復興支援型地域社会雇用創成事業の一環としての「文化なしごと」創造事業プロジェクトを展開しました。また、東京をベースに、東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム(HSP)や難民・移民ドキュメンテーションセンター(CDR)などとの連携し、シンポジウムやワークショップ等を行い、「人間の安全保障」の考え方の普及活動を展開しました。

 震災・津波・原発事故の三重の災害から2年以上経った今でも、20134月現在、30万人を越える人びとが全国47都道府県、1200の市区町村の仮設住宅等での避難者としての生活を余儀なくされています。とくに福島県からは約55,000人が県外に避難して生活しています(復興庁のホームより)。被災地では雇用も十分に創出されていない状態が続いています。避難生活の長期化の中で、「人間の安全保障」という観点から見ても、まだ復興というにはほど遠い状態なのです。

 そういう中で、今年度は、復興支援プロジェトとして3年目を迎える「子ども未来館」プロジェクトを継続しつつ、昨年度に着手した「文化なしごと」による震災経験の「創作民話」事業を発展させます。また、東京においては、HSPCDR、さらに自由が丘商店街との連携のもとにいくつかの新たな「人間の安全保障」ビジネス事業を展開していきたいと思っております。

 わたし自身は、昨年度始めた「まなび旅」事業を東京大学総合文化研究科「人間の安全保障」プログラムとの連携で展開し、他方、放送大学との連携のもと「公共人類学─人類学の社会貢献」という活動を展開したいと考えています。

 昨年の理事長としての挨拶でも申し上げましたが、「フォーラム」は出会いの場でもあります。その意味で、皆様のようなすばらしい仲間達と「人間の安全保障」の輪を世界に向かって拡げていきたいと考えています。会員の皆様のご指導とご協力を改めてお願い申し上げます。

 

 

理事長 山下晋司

理事長略歴:

東京大学教養学部卒業(’73)、東京都立大学文学博士('87)

1989年より東京大学教養学部助教授、1995年同教授。

2012年紫綬褒章叙勲

2013年東京大学を定年にて退任ののち、現在、帝京平成大学教授。

▲PAGE TOP