2012年まなび旅•宮城

担当理事 山下晋司

 ボランティアツーリズムという言葉があります。「ボランティア」と「ツーリズム」の組み合わせは、ボランティアを「まじめ」、ツーリズム(観光)を「遊び」と考えるならば、奇妙に見えるかもしれません。しかし、「被災地に旅行し、そこで滞在することは被災地の復興の一助となる」というのが、2004年スマトラ沖津波の被害を受けたタイ・プーケットの教訓でした。

 3.11以降、「復興ツーリズム」としてのボランティアツーリズムは、さまざまなかたちで展開されてきています。例えば、会員制の旅行会社、クラブツーリズムでは、20116月から10月にかけて、RQ市民災害救援センターとの連携で、23日の「東日本大震災復興支援宮城県ボランティア」と称するツアーを企画しました。1日目は、朝バスで東京を発ち、鳴子温泉に宿泊。2日目は、RQのコーディネーションのもと、市民災害救援センターの指示に従い、登米市、南三陸町、気仙沼市、または石巻市でボランティア活動に従事。3日目には現地を立ち、夕方まで東京に戻るというものでした。ツアーは、乗り物の手配(バス)と集客は旅行代理店で、現地対応は現地に支援活動を行っているNPO(この場合はRQ市民災害救援センター)という協働によって可能になりました。その意味でこの種のツアーを「NPOツーリズム」と呼んでもよいかもしれません。

 私たちも「HSFまなび旅・宮城:ボランティアで夏祭りに参加しよう!」と銘打って、日本旅行と提携しつつ、81921日、宮城県登米市の南方仮設住宅における教育支援および夏祭り実行支援ボランティア活動を企画・実施しました。参加者は大学生・教員・社会人など21人。818日の午後、山下による事前レクチャーと説明会。819() の朝、駒場をバスで出発、夕方登米着、登米ふるさと交流館に宿泊。820 午前中は南方仮設の佐藤京子さんのガイドで南三陸町津波被災地を訪れ、午後は南方仮設住宅における教育支援ならびに夏祭り実行支援活動。 821日は、午前中祭りの後片付けを行った後、自治会長の佐藤清太郎さんはじめ仮設の住民たちとの一緒に昼食をとり、交流会。午後、バスで帰路に着き、夜、駒場着、というスケジュールでした。

 最後の日の交流会では、短い時間でしたが、仮設の住民の皆さん方と語り合い、バスで発つときにはなごりを惜しむ別れもありました。また、行き帰りのバスの中では、「震災について」「人間の安全保障について」などのテーマを、車中でマイクを回しながら、ディスカッション・セッションを4回持ちました。これは、「まなび旅」の一環として、バス旅の時間を有効に使う方法としてきわめて有益であったように思います。

 「学びと旅の融合」、あるいは旅を通して学ぶ、旅を通して考えるということ。旅は楽しむだけでなく、考えるのにも適しているのです。考えてみれば、わたしが専門とする文化人類学のフィールドワークとはまなび旅に他なりません。この「まなび旅」企画を今後も「人間の安全保障」ビジネスの一環として追求したいと考えています。

 

 

2012年宮城まなび旅チラシ
HSFmanabitabiMiyagi.pdf
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