SDGsシンポジウム「『誰も取り残されない愛知』を実現するために何をすべきか」にて「愛知県の人間の安全保障指標」発表

名古屋でSDGsシンポジウムを開催し、愛知県の人間の安全指標を発表しました!

 

 2024年2月10日(土)、私たち「人間の安全保障」フォーラムは、愛知県ユニセフ協会、コープあいち、中部大学国際GISセンターと共催し、国連地域開発センター(UNCRD)、JICA中部の後援を受けて、名古屋市公会堂でSDGsシンポジウムを開催しました。会場には多くの参加があり、オンラインと合わせておよそ110名で活発な議論が交わされました。

 

 私たちのフォーラムは、SDGs(持続可能な開発目標)の理念である「誰も取り残されない社会」を日本で実現するための指標づくりを進めています。全国版、そして宮城県版をふまえて、今回、この理念を愛知県で実現するための優先課題を示す「愛知県の人間の安全保障指標」を作成しました。地図やグラフを活用し、愛知県内の市町村ごとに、行政や市民がSDGsの理念を達成するために優先的に取り組むべき課題を可視化しました。シンポジウムは、この指標を公開するイベントとして企画されました。

 

 シンポジウムでは、会場参加の方々全員に愛知県指標を紹介する小冊子の印刷版を配布するとともに、オンラインでダウンロードできるようにしました。この指標を素材として、愛知県の内外の人たちが活発な議論を行いました。


データで見る「誰も取り残されない愛知」を実現するための人間の安全保障指標(小冊子)

ダウンロード
小冊子.pdf
PDFファイル 3.1 MB


 シンポジウム当日のパワーポイント資料

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高須幸雄.pdf
PDFファイル 1.4 MB
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川村真也.pdf
PDFファイル 3.7 MB
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石本めぐみ.pdf
PDFファイル 938.7 KB

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神田すみれ.pdf
PDFファイル 1.8 MB
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及川幸彦.pdf
PDFファイル 3.5 MB
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峯陽一.pdf
PDFファイル 233.8 KB

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名古屋大学教育学部附属高等学校.pdf
PDFファイル 4.5 MB


 

 シンポジウムの冒頭では、平光佐知子さん(愛知県ユニセフ協会事務局長)の司会により、杉山直さん(愛知県ユニセフ協会会長・名古屋大学総長)、江口幸雄さん(愛知県副知事)からご挨拶を受けました。杉山さんはSDGsの意義、愛知県の歴史と文化への誇り、そして子どもたちの役割を強調しました。江口さんは愛知県のSDGsに関する取り組みを多面的に紹介するとともに、指標については順位が低いところも「のびしろ」があるのだから頑張ろうと呼びかけました。

 

 その後、主催者を代表して、高須幸雄さん(理事長)による基調講演「SDGsの理念を愛知県で実現するために」が実施されました。高須さんはまず、市町村の順位よりも、どこに弱点があるかを自覚するツールとして、指標を活用してほしいと呼びかけました。日本でのSDGsの取り組みでは経済や環境の持続可能性が語られることが多いですが、SDGsの根本的な目標は、すべての人の人権と尊厳を守り、誰も取り残されない社会をつくることです。高須さんは、愛知県が直面する問題を他県と比較して指摘したうえで、県下の54の自治体ごとにデータを細分化した愛知県の人間の安全保障指標を解説しました。尾張、三河といった地域別の特徴を概観したうえで、ひとり親世帯の子どもの貧困、子どもの虐待を具体例として取り上げました。そして、名古屋市、豊橋市、南知多町を例にとり、五角形のレーダーチャートを使って自治体が取り組むべき課題をどう読み取ることができるかを説明しました。最後に高須さんは、誰も取り残されない愛知を実現するための9つの提言を提示しました(詳しくは小冊子をご覧ください)。

 

 休憩をはさみ、後半部では、峯陽一さん(JICA緒方貞子平和開発研究所長)の司会により、シンポジウム「SDGsを愛知で実現しよう!」が行われました。川村真也さん(中部大学中部高等学術研究所特任講師)は、愛知県が直面してきた環境問題、河川を大切にする中部ESD拠点の活動を紹介し、地域の尊厳を高める必要性を語りました。神田すみれさん(地域と共同の研究センター研究員・あいち多文化共生推進会議委員)は、日本全国と愛知県の外国人受け入れの状況を概観したうえで、学校現場、若者たちの課題に加えて、外国人社会においても高齢化の問題が問われていると論じました。石本めぐみさん(ウイメンズアイ代表理事)は、宮城県の被災地での活動の教訓をふまえながら、大都市圏への女性の流出など、愛知県の女性をめぐる課題について指標が示す現実を問題提起しました。及川幸彦さん(奈良国立大学機構奈良教育大学ESD・SDGsセンター副センター長)は、SDGsの中心に教育を通じた行動変容があること、指導要領も変わりつつあること、そして愛知県では防災教育がとりわけ重要であることを論じました。シンポジウムではそれぞれがそれぞれの立場から人間の尊厳について語りました。

 

 最後に、名古屋大学教育学部附属高等学校の皆さんが研究発表を行いました。高校生のチームは、「誰も取り残されない愛知」を実現するための課題として、愛知県全体の指標、名古屋市の指標、子どもと外国人をめぐる問題について議論した後、日本人と外国人の子どもたちが交流できるコミュニティづくりのために、名古屋の伝統産業を生かした伝統工芸体験移動車というプロジェクトを提案しました。とても斬新で論理的、実践的な提案を受けて、会場では大きな拍手が起こりました。

 

 登壇者による発表が終わった後、イベントを後援してくださった国連地域開発センター(UNCRD)所長の遠藤和重さんから、国連でのSDGs後半の展望をめぐる議論について質問があり、高須さんより人間の安全保障に関する新しい国連事務総長報告の意義を中心に回答がありました。JICA中部所長の小森正勝さんからは、SDGs展示会などの活動紹介がありました。力がこもった発表が続き、質疑応答の時間をとれなかったことが残念でしたが、シンポジウムの締めくくりには、森政広コープあいち理事長より、行政にも働きかけながら、地域のひとつひとつの問題を解決することが大切だというご挨拶を受けました。

 

 東海ラジオがイベントについて事前に詳しくご案内してくださった他、当日は中部日本放送(CBC)、および東海テレビがテレビニュースで大きくとりあげ、中日新聞(2024年2月17日朝刊)でも報道されました。